元 外資系広告代理店 営業マンのつぶやき

ちょっと早めの定年退職。さてとこれから何をやろうかな。

Vol. 6 - 自分がどんな苦境に立たされても仕事が続けられる理由

ついでと言っては私の友人であるALS患者(仮称:Hさん・男性)に対して失礼になるが、前回のブログの続きになってしまうが今回はなぜ私が厳しい環境でも仕事を続けられてきたか、そして今も続けられているかということは少々、偉そうな文章になってしまうが書いてみようと思う。

 

前述の通りHさんとは前職で一緒に仕事をさせてもらった仲間だった。HさんはALSを発症し約10年。今はTLS(完全な閉塞状態)が近く、厳しい病状と闘っている。そんなHさんを見ていると大変に不謹慎ではあるがなぜか勇気をもらいガンバロウ!という気持ちになり、本当は我々がHさんに夢や希望を伝えなければならないのにいつもHさんからパワーをもらっている。そういう自分が時々なさけなくなってくるけれど、なんとなくだが前へ進もう!という気持ちで今までやってきた。

 

実はその気持ちをさらに増幅させる大きなタイミングがやってきた。2019年、日本は世界的なスポーツイベントで沸きに沸いた。そうRWC2019日本大会だ。最終的に日本チームはベスト8まで進み惜しくもベスト4は南アフリカに阻まれてしまったが、実は2019年はまぎれもなく私はRWC2019日本大会の真っただ中で仕事をしていたのだ。

 

具体的な仕事はここでは割愛するが、簡単に言うとRWC2019 日本大会の「ワールドワイドスポンサー」のお仕事を当時在籍していた会社内で私を含め数十人で担当をさせてもらった。お仕事の内容は日本全国施設でラグビーイベント実施や、インフルエンサーマーケティング、デジタルマーケティング、スポンサーのラグビーチケットキャンペーンの企画立案と実施、さらにはチケット管理やキャンペーン当選者さんの各会場ホテル管理や送迎バスの手配、リーグ戦の各会場でのホスピタリティ管理などを一手に引き受けていた。お仕事は前述の通り数十人のチームでやっていたが基本的に人が足りなかったのだろう、私が担当する部門は本来であれば3.5人でやるべき仕事をなぜか途中から私ひとりに任され実行していた。

 

それはそれはハードワークで毎日6:45に出勤し23:30に退社するという日々を約1年間つづけてきた。もちろん週末の休みなどはなく、一年間で7日しか完全休養日はなかったという状況。夏季休暇、年末年始などない、そりゃぁ体もおかしくなるけれどそれでもやり続けた。この仕事、実はキツイ現場仕事だ。しかしかっこよく言うと、多くのイベントを手掛けてきた私以外には任せられる者はいなかった、したがい頼んだぞ!という筋書きだったのかもしれない。

 

さて話を戻すが、そのようなハードワークでもやり続けられてきたのはHさんが常に私の頭の中にあったからだ。当時の回顧録的には、私はハードな仕事をやっているけどHさんと一緒に仕事をしていると思っているからこそ、やり続けられているのだと。Hさんだって仕事をバリバリとやりたいはず、でも今はALSという病気でそれもままならない。であれば私ごときで申し訳ないがHさんの分、あるいはそれ以上の事をやってみよう!と心に誓いやり続けていることを。

 

と思いながらとにかくがむしゃらに進んだ。人とは不思議なもので、がむしゃらに進み続けるといろいろと不思議な世界が見えてくることがわかった。そこで見えてきたものとは。これまた偉そうな言い分だけどHさんのために「自分の立場をすべて捨てて」何かを成し遂げようとするとき、人には限界というものが存在せず、なんでもできるし乗り越えられることがわかった。辛いとか・やりたくないとか・人のせいにするとかあるいは見返りを期待するとかそういった感情は出てこないし怖いものなんてなくなってしまった。さらに不思議と人に敬意を表し行動しようとする心が芽生えてきた。この歳になってこんな感情が持てたことと経験できたことがちょっとうれしかったかも。心が洗われたって感じが適切かもしれない。

 

2020年3月、会社都合による早期退職後、現在はとある会社で業務委託的な立場で厳しい環境に身を置いてはいるが、Hさんのことをこれまでもそしてこれからもひと時も忘れることなく進んでみようと思えばこそ、どんな環境でもどんな仕事でもできる気がしているし、現にやっている自分がそこにいる。Hさんは私にとって誇りだと思っている。そして以前に見た夢だけど、ALSで闘病中のHさんの病室に入ったらHさんがみんなに囲まれてニコニコと笑いながら上半身を起こし「Hydeeさん!俺、病気が治ったんだよ!これから歩くんだ!ほら見て!!」といって地面に足を出し立とうとしている夢。そしてこの夢は夢ではなく現実のものにしたいと強く願っているし、不治の病と言われているALS、そしてその病気と闘い続けているHさんがいるからこそ、いかなる苦境に立たされても働いて行ける私がいるような気がしている。

 

というお話。人の持つ力。人は何かのきっかけで強くなれるということ。人は前を向いて一歩ずつ進んでゆかなければならないこと。人は人を想い、人のために役に立つということを常日頃から思い行動せねばならないこと。そうすることによって自身の人生はもちろん、まわりの人々も幸せになり世の中も必ず良くなってゆく!と信じて生きてゆかねばと思ったこの2年間だったかな。これからもガンバロウ!★最後までご一読ありがとうございました。

 

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2021年、本厄の厄祓いと同時にALSの根絶を祈ってきた。東京調布の深大寺にて。